冬季に入り、霜や氷、雪などの天候が影響を及ぼす中、航空機の安全な運行を確保するために、除防冰作業が欠かせません。この作業は、航空機の翼面に氷雪が積もらないようにし、飛行性能や操縦性に影響を与えないために行われます。しかし、この除防冰作業には高額な費用がかかるため、誰がその費用を負担するのかが問題となります。
除防冰作業の高額な費用
航空機の除防冰作業には、飛行機のサイズによって異なる費用がかかります。特に大型機ほど使用する除冰液の量が増えるため、費用が高くなります。例えば、ある除冰液の桶が2592ドル(約30万円)で、1ガロン(約3.8リットル)の価格が12.5ドル(約1,500円)程度となっています。あるいは、500リットルの除冰液を使用する場合、費用は約43,000元(約700,000円)になります。これに加えて、人工費や設備費用も含まれます。
中国国内の空港で使用される除冰液の価格は、1リットル40~60元(約700~1,000円)程度です。このため、500リットルの除冰液を使う場合、2万~3万元(約400,000~600,000円)の費用がかかります。つまり、航空会社にとってはこれが直接的なコストとなり、除冰作業の負担が大きいことがわかります。
航空会社の運営コストと除防冰作業の影響
例えば、737NG型の航空機で、満席170人の乗客を想定した場合、航空会社の運営コストは1座席あたり0.4元から0.6元の間で、低価格航空会社ではさらに安い0.2元から0.3元程度になることもあります。もし1000kmのフライトの場合、平均的な航空券の価格が600元なら、140席分で84,000元の収入が見込めます。しかし、航空会社が0.5元/kmの運営コストで飛行すると、総運営コストは7万元となり、粗利は1万4千元程度となります。しかし、1回の除冰作業に必要なコストを加えると、航空会社の利益はすぐに消えてしまうことになります。
また、雪がひどく降る場合、1トン以上の除冰液を使用することもあります。その場合、その日のフライトの利益が除冰作業の費用に消えてしまう可能性もあります。
除防冰作業の代償:遅延や運行停止のリスク
もし航空会社がコストを削減しようとして除冰作業を行わず、霜や氷が溶けるのを待ったり、天候が回復するのを期待していると、最終的にはフライトが遅延したり、旅客が滞留する可能性が高くなります。この結果、航空会社や空港には追加の経済的損失が発生し、定時運航率に悪影響を及ぼすことになります。
そのため、少なくとも現在では、どの航空会社も除冰作業を避けることはなく、安全運航が最優先されています。
最終的に誰が除防冰費用を負担するか?
現状では、中国国内では除防冰の費用は航空会社が負担しているのが一般的です。航空会社が除冰費用を支払うことができる場合でも、豪雪などによって費用が何万、何十万にも上る場合、航空会社には大きな負担となります。航空会社がフライトをキャンセルすれば社会的責任を果たせませんし、キャンセルしなければ赤字で運航することになります。
では、この費用をどう解決するべきかというと、旅客が負担することはできません。除冰作業は定期的に行うものではなく、天候に依存しています。つまり、事前に購入したチケットの料金に追加して旅客から除冰費用を徴収することはできません。また、航空会社が無料で除冰作業を提供することもあり得ません。したがって、空港が除冰液を原価で提供するという形が最も現実的であり、その際には追加の人工費や設備の維持費用を考慮するべきです。
まとめ
除防冰作業の費用問題は、航空会社にとっては深刻な経済的課題ですが、最も重要なのは航空の安全です。どんなにコストがかかっても、安全に運航するためには除冰作業は不可欠であり、今後も航空業界全体でこの課題に取り組んでいく必要があります。
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