批判の声が上がる中で百億円以上の利益を得る!携程(Ctrip)はどんな秘密を持っているのか?

チケット

消費者からの様々な批判を受けながら、同時に大きな利益を上げる企業は少ないですが、携程(Ctrip)はその一つと言えるでしょう。

ここ2年、コロナ後の旅行市場の急激な回復により、OTA(オンライン旅行代理店)プラットフォーム(ホテル、旅行、チケット予約など)が好調に成長し、携程もその恩恵を受けています。公開された財務報告書によると、2023年の携程の売上高は445億元(約8,000億円)で、前年比122%の増加を記録し、純利益は100億元(約1,800億円)となり、2022年と比べて約614%増加しました。2024年も成長の勢いは続き、第三四半期の純利益は150億元に達しています。

売上の増加と裏腹にサービス体験には大きな争議

売上が伸びる一方で、携程のサービス体験には大きな批判の声が上がっています。消費者からの苦情は減少するどころか、ますます高まっています。たとえば、黒猫投诉(中国の苦情受付プラットフォーム)では、携程の旅行サービスや携程金融に関する苦情が98,000件を超え、最近30日間での苦情は2,500件を超えています。

また、中国電子商会傘下の消費サービス保障プラットフォームである「消费保データ研究院」が発表した2024年度の消費苦情データによると、2024年にオンライン旅行関連の苦情は合計83,019件に達し、そのうち携程に関する苦情が19,362件を占め、業界で最も多い苦情数を記録しました。苦情の内容は、大データによる価格操作、バンドル販売、返金の難しさ、アフターサービスの欠如、不正料金、悪質な契約条項、詐欺、虚偽の宣伝、価格問題など、さまざまです。

携程の公式サイトでは「完璧な旅を追求し、素晴らしい世界を共に築く」という使命が掲げられていますが、多くの消費者のレビューでは「不愉快」「ゴミ」「詐欺師」といった言葉が頻繁に登場します。

価格操作と悪質なサービスの苦情

携程に関する苦情は、広告や口コミが多くを占めるソーシャルメディアでも目立っています。特に、「大データによる価格操作」による不満が目立ちます。たとえば、フライト予約の際、多くのユーザーが携程のプラットフォームが情報の差を悪用して価格を操作していると苦情を訴えています。ユーザーが航空券を予約する前に検索すると、価格がどんどん上がり、「残りわずか!」というメッセージが表示され、チケットが完売するかのように見せかけることによって、消費者が急いで購入するよう促されています。

ユーザーによると、チケット購入後、数時間後には価格が元に戻り、携程側に支払った差額を返金することはなく、高額な手数料が発生することもあります。このような「霸王条款」(一方的に不利な契約条項)に対する不満が高まっています。

また、ホテルの予約にも同様の問題が発生しており、実際に宿泊したホテルの衛生状態や部屋のタイプ、住所などが、携程のプラットフォームでの情報と異なっていることがあります。国内ではまだ何とか許容される場合もありますが、海外旅行の際にはひどい目に遭うことが多いです。特に「幽霊ホテル」の問題が多く、ユーザーが携程を通じて予約したホテルが実際には存在しないことがあり、その後、本物のホテルに誘導され、高額な差額を取られています。

不正な料金や詐欺

さらに、年末に近づくにつれて、携程の「鉄道チケットの購入支援機能」や「加速パッケージ」も「詐欺的な仕組み」だと批判されています。多くのユーザーが、携程の加速機能を使って長距離鉄道の座席を購入しようとした結果、結局座席が無いチケットしか手に入れられず、追加で支払ったサービス料金が無駄になったと報告しています。さらに、座席を取ったと思ったら、実際には重複した座席で、車内の乗務員は携程のチケットではなく、12306(中国の鉄道予約プラットフォーム)のチケットのみを認めていました。

そして、チケットをキャンセルしようとすると、全額返金されず、ユーザーが苦情を申し立てた後にやっと返金されたケースも多いです。このような小額の問題が重なると、大きな問題になる可能性があります。特に春運(春節の移動ピーク期間)のような時期に、多くの消費者が携程のサービスに不満を抱くことになり、最終的には「大手は消費者をだます」と感じる人が増えるでしょう。

個人情報の安全性に関する問題

携程に関してさらに深刻な問題として、個人情報のセキュリティに関する懸念があります。消費者の中には、携程で海外旅行やホテル、航空券を予約した後に、「サービス提供」や「遅延・変更に関する対応」の電話を受け、実際には詐欺の電話であったという事例が報告されています。相手はユーザーの個人情報や旅行スケジュールを巧妙に使って、最終的に銀行口座からお金を騙し取っています。

ホテル業界からの不満

携程のプラットフォームに対する批判は消費者だけでなく、ホテル業界からも多く寄せられています。携程はオンライン旅行市場において強い影響力を持ち、多くのホテルは携程との契約によって価格設定に制約を受け、高い手数料を支払わなければならない状況です。そのため、携程はホテルの評価やランキングをコントロールしており、多くのホテルが苦しんでいます。

今後の競争環境と課題

2025年、中国のOTA市場はさらに多様化し、競争が激化する見込みです。携程が大手プラットフォームの強みを活かして慢心し続ければ、他のプラットフォームに成長のチャンスが訪れることになるでしょう。例えば、美団(Meituan)は本地生活サービスを活用してホテル予約や観光市場に進出し、飛猪(Fliggy)は阿里巴巴のエコシステムを駆使して市場を争い、抖音(Douyin)や快手(Kuaishou)などはユニークなコンテンツマーケティングを通じて旅行市場で新たな地位を築いています。

今後の市場トレンドは、技術革新、ユーザー体験の向上、サプライチェーンの最適化、個別化されたサービスに焦点を当て、消費者の多様化した旅行ニーズに応える形で進化していくでしょう。

結論として、ビジネスの論理は最終的に「優れたユーザー口碑と体験を提供すること」に戻るべきです。もし、あるプラットフォームが消費者からの声に耳を貸さず、悪質な操作を続けるのであれば、その企業は必ず顧客に見放される運命にあると言えるでしょう。

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