中国の航空貨物業界、2024年は過去最高の成長を記録―南方航空がB777Fを追加導入、国際貨物便も拡大

航空・飛行機

2024年、世界の航空貨物需要は過去最高を記録しました。国際航空運送協会(IATA)が発表した最新の定期報告によると、2024年の航空貨物需要は2021年のピークを超え、歴史的な高水準に達しました。年間の航空貨物輸送能力(ACTK)は前年同期比で7.4%増加(国際貨物は9.6%増)、平均収益率は2023年比で1.6%減少したものの、2019年比では39%高い水準を維持しています。


南方航空物流、B777F貨物機を追加導入

南方航空物流は、2025年2月7日、新たに1機のボーイング777F(機体登録番号:B-226C)を導入しました。貨物機はアメリカ・シアトルから飛来し、広州白雲空港に着陸。これにより、南方航空の貨物機B777Fの保有数は18機となり、中国国内で最大規模の貨物機隊を運用することになります。

現在、南方航空物流は週70便以上の国際貨物定期便を運航し、世界各地の主要貨物都市へのネットワークを展開しています。


1月に27本の国際貨物路線が新規開設

中国物流・購買連合会(CFLP)航空物流部門のデータによると、2025年1月に全国で新たに27本の国際貨物便が開設されました。週あたりの往復便数は43便以上増加し、以下の地域への貨物輸送が強化されました。

  • ヨーロッパ向け:15本
  • アジア、南米、アフリカ向け:各1本

この拡大は、クロスボーダーEC、電子機器、車載部品などの輸送需要が高まり、中国と世界の物流ネットワークがさらに強化されたことを示しています。


海南省、航空物流の発展を促進する新政策を発表

海南省は航空物流の発展を加速させるため、**「海南省航空物流高品質発展のための20の施策」**を発表しました。これは、航空貨物のインフラ整備や航空経済の発展を支援し、海南自由貿易港の物流ハブとしての機能を強化することを目的としています。

目標として、

  • 2025年までに、航空貨物の取り扱い量を32万トン、国際貨物路線を10路線以上に拡大
  • 2027年までに、貨物取り扱い量35万トン、国際貨物路線を12路線以上に拡大

といった数値が掲げられています。


新たに空港型国家物流ハブが追加認定

国家発展改革委員会(NDRC)が発表した「国家物流ハブ最適化計画」によると、新たに26か所の物流ハブが認定されました。これにより、全国の物流ハブ都市は152か所、国家物流ハブの総数は229か所となりました。

特に空港型物流ハブは、全国で23か所に増加。今回、新たにチベット自治区の山南市が空港型物流ハブに認定されました。その他の主要な空港型物流ハブには、北京、天津、上海、広州、深圳、成都、西安などが含まれます。


春節期間中、主要空港の貨物取扱量が大幅増加

旧正月(春節)の影響で、中国各地の空港における貨物取扱量が急増しました。

  • 湖北省・鄂州花湖空港:6100トン(前年比280%増)
  • 成都の空港(双流・天府):1.4万トン
  • 新疆ウルムチ空港:3075.3トン(前年比98.9%増)
  • 青島流亭空港:1884トン

また、長春空港は2025年1月に1.2万トンを処理し、単月の過去最高記録を更新しました。


航空貨物機市場の最新動向

エアバスA350F、受注数が66機に

2025年1月8日、エアバスは匿名の顧客からA350F貨物機3機の新規注文を受け、A350Fの受注数は合計66機に達しました。

主な顧客は以下の通り。

  • スターラックス航空(10機)
  • トルコ航空(5機)
  • キャセイ・カーゴ(6機、オプション20機)
  • エールフランス-KLM(4機)
  • エティハド航空(10機)
  • シルクロード・ウェスト航空(2機)
  • シンガポール航空(7機)
  • フランス航空(4機)
  • アメリカ航空リース(7機)
  • CMA CGMカーゴ(8機)

最初のA350Fは、2026年の引き渡しが予定されています。

ボーイングB777-8F、受注数が55機に

B777-8Fの主な顧客は、

  • カタール航空
  • ルクセンブルク貨物航空(Cargolux)
  • 全日空(ANA)
  • 中華航空(China Airlines)

などで、2028年に市場投入が予定されています。


米国の対中関税政策が短期間で変更、業界に混乱

2025年2月1日、トランプ前大統領は行政命令を発令し、2月4日より中国からの輸入品に10%の追加関税を課すと発表。800ドル以下の小口輸入免税措置も撤廃するとしました。

しかし、2月7日にはバイデン政権が新たな行政命令を発表し、中国からの輸入品に対する「最低限の関税免除」を継続すると発表。さらに、米国郵政公社(USPS)は2月4日に中国・香港からの荷物受け入れを一時停止したものの、翌5日に再開しました。

こうした急な政策変更の背景には、米国政府と業界団体の間の調整と妥協があると見られます。短期間での規則変更は、国際貿易に混乱をもたらし、特に航空貨物業界に影響を与えています。


まとめ

  • 2024年の航空貨物需要は過去最高を記録し、国際貨物便が拡大
  • 南方航空がB777Fを追加導入し、貨物機隊は国内最大規模の18機に
  • 海南省は航空物流発展のための新政策を発表し、貨物取扱量の大幅増加を目指す
  • 米国の関税政策の急変が業界に混乱をもたらしている

2025年も航空貨物市場の成長が続くと予測され、各航空会社や政府の動向が注目されています。

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