PW1100エンジントラブルで大量の航空機が駐機、航空各社に大打撃

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2月時点で中国国内のPW1100エンジンを搭載する航空機274機のうち108機が駐機しており、その割合は39.4%に達していることが明らかになった。

航空会社別の駐機状況は以下の通り。

  • 四川航空:総機数60機、駐機23機(38.3%)
  • 中国国際航空:総機数53機、駐機31機(58.5%)
  • 吉祥航空:総機数36機、駐機11機(30.6%)
  • 深圳航空:総機数33機、駐機12機(36.4%)
  • 中国南方航空:総機数25機、駐機9機(36%)
  • 青島航空:総機数24機、駐機9機(37.5%)
  • 華夏航空:総機数17機、駐機4機(23.5%)
  • 天津航空:総機数16機、駐機6機(37.5%)
  • 西部航空:総機数10機、駐機4機(40%)

これほど多くの航空機が駐機を余儀なくされる状況は、各航空会社にとって莫大な損失を意味する。稼働できない機材は乗客を運ぶこともできず、収益を生み出せないだけでなく、高額な駐機費用や整備コストも発生し、経営への影響は深刻だ。

トラブルの発端は2023年、米国プラット・アンド・ホイットニー社のエンジン問題

PW1100エンジンの大規模な駐機問題の起源は、2023年に遡る。

2023年7月、米国のエンジンメーカーであるプラット・アンド・ホイットニー(PW)社は、同社のPW1100G-JMエンジンの製造に使用された粉末冶金材料に異常が見つかったと発表。この影響により、A320neo型機に搭載されている多くのエンジンが9〜12か月以内に点検・修理が必要になるとされた。

発表から2か月後の2023年9月10日、中国国際航空(エアチャイナ)のCA403便(成都→シンガポール)の客室で着陸直前に煙が発生し、左エンジンが出火する事故が発生。このエンジントラブルの原因は機械的故障であり、使用されていたのはPW1100Gエンジンだった。この事故をきっかけに、PW1100Gエンジンの安全性問題が再び注目を浴びることとなった。

翌9月11日、PW社は「エンジン点検対象を拡大する」と発表。2023年7月時点で1,200基のエンジンの点検を予定していたが、新たに600〜700基を追加点検するとした。

PW社によると、1基のエンジンを修理するのに約300日かかる見込みであり、この影響で世界中の航空会社が大量の航空機を駐機せざるを得ない状況になっている。試算では、2023年から2026年の間、毎年平均350機が駐機し、2024年前半にはピークを迎え650機以上が駐機する可能性があるという。

航空業界に打撃、安全確保が最優先

現在も続くPW1100Gエンジンの問題により、各航空会社は苦しい決断を迫られている。しかし、安全は民間航空において最優先事項であり、特に中国の航空業界は安全管理を厳格に実施してきた。たとえ運航スケジュールに影響が出たとしても、リスクを伴う機材を無理に運用することは許されない。

一方で、影響を受けた航空会社に対する補償や対策の遅れは深刻な問題だ。PW社には、迅速な技術的対応と補償策の提示が求められている。エンジン問題の早期解決が、世界の航空業界にとっても大きな安心材料となるだろう。

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