新疆空港グループの元副総経理、重大な規律違反で調査中
新疆ウイグル自治区の規律検査委員会および監察委員会によると、新疆空港(グループ)有限責任会社の元党委員会委員、董事、副総経理である姚新民氏が、重大な規律違反および法違反の疑いで調査を受けています。
姚新民氏は2009年から新疆空港グループの副総経理として勤務し、複数の空港の改修・拡張プロジェクトを担当していました。具体的には、伊寧、トルファン、庫尓勒、ウルムチなど、自治区内の空港が含まれます。
ウルムチ空港の巨額プロジェクトとその影
特に注目されるのは、2019年に始まったウルムチ空港の改修・拡張プロジェクトです。このプロジェクトは「第13次五カ年計画」と「第14次五カ年計画」の重点建設事業であり、シルクロード経済圏の中核「一港五センター」の構築において重要な位置を占めています。総投資額は417.87億元(約8800億円)に上ります。
これほどの巨額投資において、姚氏がその立場を利用して不正な利益を得た可能性は否定できません。姚氏は2023年末に退職し、穏やかな老後を過ごすつもりだったようですが、その期待は見事に裏切られる結果となりました。退職から1年も経たないうちに調査が始まり、彼の未来は鉄格子の向こう側で過ごすことになるかもしれません。
空港建設が腐敗の温床に
今年に入ってからも、全国で複数の空港グループの幹部が調査対象となっています。これらの幹部には、空港改修・拡張事業を担当していたという共通点があります。
空港建設プロジェクトは、何百億もの巨額投資が伴うため、分管責任者は請負業者から賄賂の標的にされやすいのが現実です。その結果、金銭の誘惑に抗しきれず、腐敗の泥沼に陥る幹部が後を絶ちません。
国内の空港建設ラッシュが生んだ腐敗
過去10年は、国内で大規模な空港建設および拡張が進められた時期でした。この間に多くの腐敗分子が育まれていたと考えると、その実態は恐ろしいものです。調査が進むにつれて明るみに出る不正の規模は驚くべきものとなるでしょう。
コロナ後に再開する空港プロジェクト
新型コロナウイルスの影響で一時中断していた空港建設事業が、再びスケジュールに上がっています。現在進行中の主な空港プロジェクトは以下の通りです。
新設空港
- 厦門翔安空港:335億元
- 呼和浩特刺勒川空港:231.1億元
- 大連金州湾空港:263億元
改修・拡張空港
- 広州白雲空港(三期):544.2億元
- 上海浦東空港(四期):387.6億元
- 重慶江北空港(五期):225億元
- 西安咸陽空港(三期):476.45億元
- 昆明長水空港(二期):640億元
- 天津濱海空港(三期):188.62億元
- 西寧曹家堡空港(三期):105.1億元
- 武漢天河空港(第三滑走路):30.8億元
- 南昌昌北空港(三期):266.3億元
- 長春龍嘉空港(三期):256.2億元
- 長沙黄花空港(改修・拡張):79.4億元
- 寧波櫟社空港(四期):490億元
- 銀川河東空港(改修・拡張):157.48億元
- ウルムチ地窩堡空港(T4ターミナルおよび第二・第三滑走路):417.87億元
- 三亜鳳凰空港(三期):29.2億元
- 哈爾浜太平空港(二期):96.58億元
- 蘭州中川空港(三期):335.5億元
- 福州長楽空港(二期):214.69億元
- 太原武宿空港(三期):239億元
- 合肥新橋空港(二期):252億元
- 珠海金湾空港(改修・拡張):48億元
- 煙台蓬莱空港(二期):62億元
- 深圳宝安空港(第三滑走路):93.5億元
合計で26の空港プロジェクトが進行しており、その総投資額は驚異的な6464.59億元(約13兆円)にも上ります。
腐敗リスクへの対策を強化すべき
現在進行中の空港建設事業において、過去の不正行為を追及する「旧帳清算」だけでは不十分です。新たなプロジェクトで発生する腐敗を未然に防ぐための対策が不可欠です。
早期に腐敗の芽を摘むことは、後に大きな損害を防ぐだけでなく、公共の利益を守る上でも極めて効果的です。空港建設が透明性を持ち、公正に進行するための取り組みが急務と言えるでしょう。
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